土と親しむ ~家庭菜園・農業応援歌~

浜松市浜北区にある「たねや(店頭販売専業)」のbaka旦那が音痴ながらも精いっぱい歌う家庭菜園や農業の応援歌! 美味しい野菜や品種の話、栽培方法など家庭菜園や農業にまつわる話題満載!

玉葱苗について ~「おく」と「わせ」の植え時?~

 久々のブログ更新です。諸般の事情でブログの更新が滞って申し訳ありません。 
 11月に入って玉葱苗の植え時になりましたね。
 前回の更新で、早生系の玉葱苗の入荷のお知らせはしましたが、昨日より「貯蔵用中生種」の苗の販売を開始致しました。

 今日は玉葱の「おく」と「わせ」の話と、その植え時の話です。
 一般に言葉の意味からすると「おく」=「晩生種」、「わせ」=「早生種」と言う事になりますが、一部の野菜では少しややこしい事情になっています。(まぁ、一部と言うよりは多くの野菜でと言った方が良いかもしれませんが・・・)
 
 特に玉葱の場合はややこしくて、収穫時期に地域性の違いがあって、4月に収穫する品種であっても、地域によっては早生種と言ったり極早生種と言ったり、中早生種と言ったりします。浜松で早出しの産地として有名な篠原地区で農家さんと話をしていると、4月収穫の品種は「おく」と呼んだりする位ですし。

 育種メーカーの品種カタログでも同様の事が言えます。参考までに下記の作型図をご覧ください。
玉葱苗について ~「おく」と「わせ」の植え時?~ 玉葱苗について ~「おく」と「わせ」の植え時?~
 
 左が「今井早生黄」と言う品種で、右が「淡路中高黄」と言う品種の作型図です。中間地の暖地で見れば、ほとんど収穫時期に違いが無いのですが、「今井早生黄」は中早生種で「淡路中高黄」は中晩生種です。

 一般的に、遠州地域(篠原地区は除く)では、従来は「泉州中高黄」(中晩生種)と言う品種が「おく」と言われる品種の代名詞だったように思いますが、現在は「O・K黄」(中生種)と言う品種が「おく」と言われる品種の代名詞になっているように思います。
 初めに言った「おく」=「晩生種」の図式が、従来は「おく」=「中晩生種」、現在は「おく」=「中生種」に変わって来ていると言う事ですね。さらにややこしいのは、現在では「ネオアース」(中晩生種)や「もみじ3号」(晩生種)なども使われていて、こちらもいわゆる「おく」と呼ばれる為、「おく」と言った時に、中生種~晩生種までを含んでしまう事ですね。

 もう一点、ややこしいのは「貯蔵性」と言う事です。一般的には「わせ」系は貯蔵性が無くて、「おく」系は貯蔵性があると言われていますが、この「貯蔵性」と言った時に、多くのお客様は、「収穫した玉葱が腐りにくい」事だと思っていらっしゃるようです。もちろんそれは間違いではないのですが、品種特性として「貯蔵性」と言った時には、腐る腐らないよりも、萌芽の時期(貯蔵した玉葱から芽が伸びてしまう事)の早晩性だと言うことです。
 「12月まで貯蔵可能な品種」と言う時に、12月まで腐らないのではなく、「12月まで萌芽しない」と言う事なのです。実際にお客様の話を聞いていても、8月位に、「「わせ」は腐らないのに「おく」はもう腐ってしまった。」と言う話を良く聞きますし、弊店でも篠原のお客様に頂いた「わせ」の玉葱が10月まで腐らないのに、浜北のお客様から頂いた「O・K黄」は8月に腐ってしまったという事はよくあります。
 
 腐る腐らないは栽培方法や栽培する畑の土質が大きく影響すると思って頂いた方が良いでしょう。

 そして植え時です。遠州地域では篠原地区がある関係で、全国でも最も早くから玉葱苗の定植が始まります。それを見ている周りの家庭菜園の方たちも玉葱苗を植える時期だと思い込んでしまうという困った状況があります。
 「わせ」系の品種ならばまだ良いのですが、「おく」系の品種だと非常にトウ立ちしやすくなってしまいます。

 弊店でも「貯蔵用の中生種」の販売を始めました。とご案内しましたが、これは「O・K黄」の事ですが、この品種は、浜松地域での最適播種期は9月25日頃で、55日育苗が最適です。そうすると定植の最適時期は11月の20日頃になります。
 玉葱は早植えするとトウ立ちしますから、当然11月の上旬に植えればトウ立ちの危険性は高まります。
 一般的に弊店の様なお店で販売する苗は55日よりも短い45~50日位の苗なので20日まで行かなくても、11月の10~15日位になれば大丈夫なのですが、それでも11月上旬は早すぎますね。

 基本的には越冬時(お正月を迎える時)の畑での苗の大きさがトウ立ちに影響するので、早く植えても越冬時に畑で苗が小さければ大丈夫なのですが、畑によってはどうしても大きくなってしまうので、注意が必要です。

 それでは、なんでそんなに早くから苗を売るの?と突っ込まれてしまいそうですが、これは言い訳にしかなりませんが、弊店では従来から上記の事をPOPや会話の中でお話ししながら苗を販売していますが、それでも11月10日までに苗を買われて行く方が圧倒的多数です。定植の適期になると苗を買いに来られる方が極端に減ってしまうのが現状です。
 これが先に申し上げた、篠原地区に引っ張られて、早植えしたがるこの地域の困った現状になってしまっていますね。

 

 
 
 

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